
バルセロナのスペイン広場からカタルニャ鉄道に乗り24分、20km離れたコロニア・グエルを訪れました。1878年のパリ万博に出品されたショーケースのデザインに目を留めて以来、ガウディーのスポンサー役を務め、ガウディーの建築作品にはなくてはならない存在の実業家エウセピ・グエルが、繊維工業住宅地区として建設したところです。

カタルニャ鉄道の発着駅、スペイン広場のあるEspanyaまではカタルーニャ広場のCatalunyaから地下鉄1号線で4駅ですが、その路線沿いに散策して行きました。
歩いていると思いがけずいろいろなものが見えてきます。
ホテル近くの小さな路地には中庭状に開けた場所の児童公園があり市民の普通の暮らしを見る事ができました。
Universitatウニベルシタット駅周辺、その名も大学の地区。
街中の広場には必ず幅の広めの椅子が対で置かれているのですが、老夫婦がまったりとしている姿には、なんだかほっとさせられます。
Urgellウルジェイ駅からRocafortロカフォルト駅、そしてEspanya駅へと続く大きな道、Gran Via de les Corts Catalanes グラン・ヴィア・ダ・ラス・コルツ・カタラナスは、中央が広い歩道になっています。この通り沿いにもガイドブックには載っていないけれどもモデルニスモの由緒ある建物が並んでいます。
建築年と建築家を記した小さな標識も建物の壁面にさりげなく飾られています。
コロニア・グエル駅に到着すると、付近はバルセロナ市内とうってかわって松の木が植わり低い山がそばにある緑がたっぷりの場所。毎日の気温が20℃近くであることも手伝い、遠足にきた気分になりました。
ここには、先日紹介した逆さ吊りの模型の実験だけで10年を費やしたガウディー建築のコロニア・グエル教会堂があります。
着工後6年たった段階で、ガウディーがサクラダ・ファミリア聖堂に専念するために建設が中断され、唯一講堂として完成していた半地下部分が礼拝堂として転用されました。
地上部分の背の高いドームは存在しませんが、天井の架構を見ると、カサ・ミラで見たチェーンの逆さ吊りが見えてきます。
教会の入場券を購入したインフォメーションセンターでもらったパンフレットを見ると、コロニア・グエルとカタルーニャ地方に存在していたその他多くの工業団地との違いは、グエルが労働者の生活環境の向上に努め、文化保護の立場にたったことにあると書かれています。その結果、文化的、宗教的な施設を備える一方で、モデルニスモの流れを新設の建築物に取り入れるために、ガウディーのほかにも、フランセスク・バレンゲーやジョアン・ルビオーといったさまざまな建築家が採用されたそうです。
また、コロニアでは、全てがコーデュロイとビロードの工業生産の効率を最優先して設計されていたけれども、同時にカトリック信仰の影響を受けた社会構造に適応したもので、農村の貧困層を受け入れて生活環境を改善し、コロニアの労働者として有能だった人々には家屋を与えていたとも。
工業地区に隣接して居住区、教会、松林などを備えて静かで昔ながらの村の雰囲気が残るコロニア内を"建築学的、社会学的、歴史的な見どころの建築物"が載った地図を片手に歩いていると、まさに20世紀初頭そのままのレストランを見つけました。
食べにきているのは、地元の人ばかり。14時頃から食べるという昼食の時間帯でメニューは壁に掲げられたプリフィクスのコースメニューのみ。
英語は通じないので、片言のスペイン語で辛うじて分かったものを選びました。
一皿目は、ビーフンのようなイカの味がしみこんで美味の"パスタ"。ムール貝が載っています。
二皿目は魚を揚げたものに、ズッキーニとポテトの付け合わせ。
ドリンクも合わせて10€に満たない値段です。
コロニア・グエルを散策してスペイン広場に戻った後は、ここから歩いていけるモンデュイックの丘へ上りました。
スペイン広場の正面にそびえるカタルニャ美術館を目指して長い道と階段を上って行きます。
噴水の奥にある4本の柱は、昔ここにあったというので、最近復元されたものだそうです。
丘の上から眺めるバルセロナの街並。
見晴らしがよく、大道芸人の奏でる吹奏楽が心地よくしばらくぼーっと眺めていました。
薄暗くなってきたところで、ロマネスク美術の分野では世界有数のコレクションを誇るというカタルニャ美術館に入りました。ピレネー山麓に点在している小聖堂が集められた壁画が何室にもわたって展示されており、その数は膨大。1日で観きれる量ではないということで、指定のない2日間有効の入場券です。
バロック美術は見終わらず、現代美術部門は軽く流すように観て外に出たときには、すっかり暗くなっていましたが、丘の下にあるマジカの噴水で水、光、色、音楽を組み合わせた華麗な噴水ショーが始まりました。
週末の夜のみ行われているという人気のショーです。丘上部からと噴水間近の双方から楽しみました。
そして夕食はランブラス通りから細い路地にある地元の若者が集っているような感じのお店を見つけて入りました。
おいしいものが必ず見つかる町、なんて素敵なところだろうと、よくしゃべるスペインの人たちに囲まれながらじっくり味わいました。
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