
バルセロナのスペイン広場からカタルニャ鉄道で1時間10分、バルセロナの北西53kmにあるモンセラット。奇岩の「のこぎり山」を意味するモンセラットの中腹にある修道院とともに、キリスト教の聖地として多くの巡礼者が訪れているこの地にくることを楽しみにしていました。
というのも、ガイドブックで見て惹かれた見開き2頁のガイドはさることながら、バルセロナに行くのならと教えていただいたブログ、"地中海ブログ"を開いたら
http://blog.archiphoto.info/?month=20101215
モンセラットを見ずにはいられなくなることが書かれていたからです。

カタルニャ鉄道に乗ってから1時間ほどすると、左手にモンセラットとおぼしき山が見えてきました。
ブログに書かれていた内容とは、レオナルド・ダ・ヴィンチが実はカタルニャ人だったという説が発表され、その著者のインタビューが訳されているのです。
その説の根拠となるのに、このモンセラットの山の中腹にある修道院に祀られている黒いマリア像が一つの鍵になっています。
行方が分からなくなっていた数年の間にこの修道院を訪れ、黒いマリア像を見て"モナリザの微笑"を描くインスピレーションを受けたといいます。
Monistrol de Montserrat駅で下車し、登山鉄道Cremalleraに乗り換えて20分。ひとつ手前の駅で下車してロープウェイで一気に上るという方法もありますが、登山鉄道に揺られながら山のかわっていく風景を見るのは気分が高まりました。
山の頂や洞窟など見所がたくさんある中をゆっくりしたいと思い、1時間ごとの運行である9時36分発に乗り、修道院についたのは11時8分。ガイドブックに載っていた時間通りです。
標高1235mの山の中腹にあるこの修道院付属の教会堂は、ナポレオン軍が侵攻してきたときに破壊されて19世紀に再建されたものですが、La Morenetaラ・モネレータと呼ばれる黒いマリア像は、土地の人の手によって隠され護られたそうです。
祭壇の背後上部に祀られていて、ミサの後に、聖堂横の入り口に並び、マリアを拝みました。神聖な部分で、その通路及びマリア像の近景を撮影することはできませんが、ガラスに覆われたマリア像のうち、宇宙空間を表しているという右手の球をさわります。
祭壇に向かって右側から左側へ列は流れて行くのですが、地中海ブログにも書かれているように右側から観た時のマリアの顔は険しく、
左側から見ると、優しく微笑んでいました。
信仰の小さな写真が売られているのを見つけ購入してきました。
モナリザの微笑に通じるものが、確かにありますね。
ダン・ブラウン著の「ダヴィンチ・コード」さながら、思いを巡らしながらの見学でした。
マリア像の背後に付属の礼拝堂があるのですが、その装飾モチーフは、ガウディーの作品です。信仰心の篤い彼は、ここでも作品をつくっていたのでした。
カタルーニャ地方を始め、スペイン全土から多くの巡礼者が訪れるというモンセラット。
聖堂の外側にあるアベ・マリアの道では、色とりどりの容器にいれられたろうそくに火が灯されていました。
マリア像を拝んだあとに、今度は、ケーブルカーFunicularフニクラに乗って、San Juanサン・ジュアンの展望台に上りました。
サン・ジュアンの展望台へのぼると、眼下に修道院が見えます。
フニクラの駅から歩いていくつかの登山ルートがあるのですが、20分とかかれたサン・ジュアンを訪れることにしました。
冒頭の写真に載せた見晴らしのよい教会跡や、山の岩にくりぬかれたサン・ジュアン祈祷庵を抜けて、さらに険しい山道をのぼり、頂上を目指しました。一昨年の夏に訪れた投げ入れ堂を思わず思い出す急な山道ですが、時間にすると20分ほどです。
頂上にのぼると、360度見渡すことができます。修道院、奇岩に加え、遠く雪を抱いたピレネー山脈から、バルセロナで見えた山の向こうに地中海まで雄大なパノラマを楽しむことができました。
再び修道院のある山の中腹に戻り、今度は、そこからフニクラで下山する形で、黒いマリア像が発見されたという伝説の洞窟があるSanta Copaサンタ・コパへ行きました。
駅から礼拝堂となっている洞窟まではロザリオの秘跡を表すモニュメントが置かれた道となっています。そのうちの一つは、ガウディの作品です。何らしかの修復工事中で前面には工事の仮囲いが設置されていました。
礼拝堂の内部には、黒いマリア像の複製が置かれていて、長いこと祈っている人の姿がありました。
山の中腹駅へ戻る最終のフニクラに間に合うよう礼拝堂を後にしました。
カタルニャ鉄道との接続をみて、登山電車でモンセラットを下山する頃に山の頂付近に見えた三日月です。
バルセロナ市内に戻り、バスク地方の名物であるピンチョススタイルのバルに入りました。
一つ1.6€でカウンターに並べられたものを自由にとり、食べた後に爪楊枝の数で精算します。
"登山"で運動したこともあり、バルセロナ市内での最後の夕食にビールがひときわおいしく感じられました。
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