
クラシックコンサートで、オーボエにフォーカスした演奏を聴くことはありますが、オーボエとはどういうものか、詳しい説明とともに演奏を聴くのは初めてです。
この写真の楽器は、左から、イングリッシュホルン、オーボエダモール、オーボエ、バロックオーボエ。
別々に置かれていたら、全てひとくくりに"オーボエ"と言ってしまいそうですが、バロックオーボエ以外の3つは、バイオリンからコントラバスまでの弦楽器が、相似形で大きくなるほど低い音になっていくように、長くなるほど低い音域になります。

講演の冒頭に、吉田氏曰く「"オーボエと仲良くなる"と題した講演だけれども、結果として仲良くなるのは難しい。」
その理由は、楽器と口を結び、空気を吹き込むことで振動させる葦からつくる"リード"をつくる工程があることや、循環呼吸など独特の呼吸法が必要であることなど。
演奏だけでは知り得ない、奏者としての苦労は聴いていて興味深いものでした。
一番厚い部分で、0.55mmほどという極薄に削り、好みのリードに仕立て上げるのは、熟練した吉田氏でも急いで20分。しかし、丁寧につくれば、質のよいものができ、葦の木肌や、生産地、厚みなどこだわりをもってつくることが、柔らかくて、きれいな音色づくりに欠かせないといいます。今では既製品もあるそうですが、湿度にも影響され、長持ちしないリードをストイックに休日につくっていると笑いながら語ってくれました。
3つのオーボエ属による何曲かの最後にピアノと一緒に演奏されたのは、数少ないオーボエを主体としたもので、私の好きなR.シューマンのオーボエ協奏曲です。
薄いリードから吹き込める空気の量が少なく、肺にたまった空気で息苦しくなるのを、"循環呼吸法";空気を吐き出すと同時に鼻から息をする、で和らげるため、肉体的にキツイそうですが、シューマンの曲は、休符がなくオーボエ奏者泣かせだとか。
シューマンの作曲した交響曲は1番から4番までありますが、特に、1番の春は、演奏している時間が長いので、とても疲れる曲のようです。
おそらく、シューマンがオーボエの構造をよく知らなかったから、との説明でした。
また、ウィーンフィルのオーボエ奏者が使用しているオーボエは、今日提示された楽器の形状と少し異なるという話もされました。
次回出かける交響楽団のコンサートでは、演奏の音色だけでなく、これらの情報をもとに、もっと楽しめるように思います。
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