
訪れるのは、2回目。
前回は、友人が、日本に留学していたドイツ人男性との結婚を機に渡独し、ドレスデンに住み始めてすぐであった2005年のゴールデンウィーク。ちょうど6年前です。
かつて「百塔の都」とうわたわれ、中世にはエルベ川の水路を利用した商業都市として発展し、16世紀以降はザクセン王国の首都として繁栄した「芸術と文化の都」です。
しかし、バロック様式の宮殿や教会、貴族の館が建ち並んだ街は、第2次世界大戦の空襲で一夜にして破壊され、戦争の悲惨さを伝えるために、釣り鐘状の聖堂をもつフラウエン(聖母)教会は、廃墟のまま残されていました。
1994年から再建が始まり、昔の姿に戻ったのも、前回訪れた2005年の10月末です。

旧東ドイツであったドレスデンの街なかは、東らしさが残っている印象が強かった前回に比べて、繁栄していた16世紀以降の街なかを再現しているだけあり、艶やかです。
上ることができるようになったフラウエン教会から、周りの変貌ぶりがよくわかりました。
教会や建物の壁に使われている石は、昔のものは黒ずみ、再建したものはクリーム色です。
数多く残された昔の絵や写真から、形状を取り戻す作業は、フラウエン教会が10年以上かかったように甚大な労力を必要とします。
長い年月をかけて美しさを取り戻したドレスデンとエルベ河畔は、世界遺産に登録されていましたが、交通渋滞を緩和するためにかけられた橋のために、その登録を取り消されたと友人に聴き、さらに驚きました。
戦争で多くの部分が破壊されたドレスデン城も2006年に修復工事が完了し、ザクセン王家の財宝コレクションが「緑の丸天井」と呼ばれ公開されています。写真撮影は禁じられているのでご紹介できないのが残念ですが、特に金銀、宝石、琥珀などの豪華絢爛な財宝が並ぶ1階にある「歴史的緑の丸天井Historisches Grünes Gewölbe」は、時間指定の予約制ですが、必見。
幸運にも行ってすぐ、最後の1枚を購入することができ、保育園に子どもたちを迎えに友人が行っている間に入ることができました。
ドレスデン城北東側の中庭にあり、欧州最古の武装競技場であったStallhofの外壁には、見どころの一つである、長さ101mの壁画「君主の行列」があります。
1123年から1904年までのザクセン君主の騎馬像や芸術家総勢93名が描かれていますが、その中に登場する、ザクセン公国の選帝侯フリードリッヒ・アウグスト1世は、ライオンのミルクを飲んで育ったために大変な力持ちだったそうで、「アウグスト強王」と呼ばれています。
空襲により、一瞬にして瓦礫の山と化した中心地にありながら、2万5000枚のタイルが使用されているこの壁画が、戦災を奇跡的に免れたのは、この強王の為せる業でしょうか。
また、ヨーロッパ有数といわれているゼンパーオペラは、リヒャルト・ワーグナーの「さまよえるオランダ人」や「タンホイザー」が初演された場所で、オペラファンにはたまらない場所です。
来週末からはドレスデン音楽祭も始まります。
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