ルフトハンザ航空の本社ビル 5/25

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フランクフルト空港に隣接する、Lufthansa Aviation Center ルフトハンザ アヴィエーションセンター は、ルフトハンザ航空の本社機能をもつビルで、IA事務所の代表作です。
1999年にコンペで見事勝ち取り、設計期間を経て、2002〜2006年にかけて建設されました。
広報のSと一緒に、海外からの来客の訪問に合わせて、視察する機会が得られました。

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空港のチェックインカウンターを思わせる受付で、パスポートを提示して予め用意された名札を首から掛けて入場しました。
この写真は、入場ゲートを通過した後に撮影したものです。










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敷地は、国際空港に隣接するだけでなく、高速道路と幹線道路に囲まれています。
そのため、執務空間への騒音を大幅に低減し、かつ最大限に太陽光や風などを取り入れることができるように、自然エネルギーを活用することを得意としたIA事務所の腕の見せ処が発揮されています。








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将来の増築を見越した設計が必要とされ、現時点での地上部の延べ面積は、約63000㎡。
地下駐車場を含めると約126000㎡と巨大ですが、このサインで表されているように、シンプルな構成です。
幅100m程度、長さは175m、将来増築後は、500m以上になる細長い建物ですが、背骨のように中央に通路が通り、交互に地上6〜7階、地下3階の建物が並んでいます。
巨大な建物にありがちな、場所を見失うことを避けるために工夫されているうちの、まずはわかりやすい一つ目は、サイン計画。
A棟の3階は、Amsterdam A3
B棟の4階は    Berlin  B4
といったようにルフトハンザが運航している都市が番地になっています。




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建物と建物の間には、現在は9ヶ所、将来は28ヶ所のウィンターガーデンがあります。
それらも、番地と同様に、就航している5大陸の特徴を表した植栽とデザインが施されています。
ここは、Beachと名付けられたアメリカ大陸の庭で、白い砂浜の上に、ビーチバレーのネットがあり、プレイすることができます。

















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これらの庭は、外部と執務空間の間でバッファーゾーンとして、騒音や外部の気温を緩和させる役割をもっています。
建物の全周と屋根はガラス張りで、夏はいかにも暑そうに見えますが、高性能なダブルスキン、ブラインド、自然換気、通風ができるシステムを導入することで、過剰な冷暖房を控えて、26℃前後の室内温度を保つことができているのです。
冬季−15℃、夏季35℃にいたる外気温に比べて、いかに外部環境の影響を小さくできているか、エネルギー消費をおさえることができているか、私が、留学先に選んだ理由です。









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最上階レストランからは、空港の滑走路を見る事ができます。
反対側の壁には、滑走路で働く人の様子がわかる、ライブ映像がモニターで映されていました。












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オフィスビルでは、いかに交流の場を設けるか、リフレッシュできる場所をつくるかも、大切な設計の要因です。
中央の通路は、交互に並んだ庭に必ず面するようになっています。
太陽光が入るその部分に、IA事務所でデザインした椅子やベンチとともに、水道とシンクのあるカウンターが置かれています。
廊下でもあり、ラウンジでもあるのです。
















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ドイツでは、少人数の個室で執務するのが一般的です。
しかし、ここでは、日本やアメリカのような大空間に近く、20〜40人が一緒に働くようになっています。
それでも、毎日顔を合わせるのは、近い人だけといったようなことが生じがち。
そこで、中央の通路部分には、三日月状の吹き抜けが設けられており、水平、垂直ともに見通しがよくなっています。吹き抜けに面して階段や通路が交差することで、全ての人の流れが集中する中で、人々の視線も交差する、部署や分野の異なる人が交差することを図っています。
視察は、企業秘密を守るために、共有部分のみの通行で、オフィスゾーンには入ることができませんでしたが、見通しのよい構成のため、通路、庭、どこにいても、たくさんの視線を感じました。

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